昨年の12月、ガラス作家のワダコーヘーさんの工房を訪ねました。
ワダさんは神奈川県横浜にて制作しています。

▲工場の様子。“硝子”の文字。身が引き締まります!

▲ガラス工場勤務の時のお写真。モノクロ写真が工場の雰囲気と合っています
ワダさん曰く“一人工場”。
ガラスの工場で勤務していたこともあり、ワダさんの経験や知識が詰め込まれている工房。
そんなワダさんが今まで道のりを色々とお話してくださいました。
初めはモノづくりとは全く関係のない仕事に就いたものの、昔から好きだったモノづくりの道を諦めきれず、ガラスの専門学校へ。
そこで勉強して、ガラス関係の仕事に就いたものの、自分の作品では芽が出ないと一度諦めたそう。
それから大工や木工の仕事をし、別のモノづくりに携わっていました。
ただやっぱり諦めきれないガラスへの想いがあり、再びガラス工房で働くことに!
そして独立し、現在に至ります。
一度は諦めた道を再び志して、現在活躍されているワダさん。
ガラスへの気持ちの強さがお話を聞き、伝わってきました。
とても驚いたのは、ガラスを制作する機械?装置はなんと自作だそう。
金属の溶接もワダさんが手がけたんだとか。
色んな経験があるからこそ、できてしまうんだな〜と感動しました。

▲ワダさんが自作した装置
ワダさんが作るガラスは基本は吹きガラスです。
吹いたあとは火切りという加工をして仕上げています。
ガラスは80度以上を超えると温度差で割れてしまう。
この温度差を利用して切る技術が火切りです。
火切りをした後、加工して削り、再度火を加えて炙る。
そして最後に温度を一定にするために全体に熱を加えてガラスが心地いい状態にしてあげるそう。

▲火切りの様子
たった一つのガラスにこんなにも多くの作業があるとは・・!
作られている工程を知ると一つひとつのガラスへの見方が変わりました。
そして貴重なことにワダさんが実際に吹いてくださりました。
ワダさんの職人技が炸裂しておりました。
普通はペアになって作業するところを全部一人で行っているため、大変とおっしゃっていましたが、そう感じさせません。
むしろ動きが美しいです!
ワダさん自身のリズムがあって、作り出すガラスと一体になっているように私は感じました。


▲無駄のない動き、手の使い方についつい見入ってしまいました・・
低姿勢で、柔らかい雰囲気を持つワダさん。
作品にもそれは表れていて、気品のある、永く使いたくなるワダさんのガラス。
ぜひ多くの方に見ていただきたいです。